時計の捨象 #01
東京・原宿の「Seiko Seed(セイコーシード)」にて開催された展覧会「からくりの森」にて、セイコーの持つ時計の技術を使った作品を発表しました。
今回はメトロノームウオッチと音声デジタルウオッチを使用し、「時計の捨象」というテーマで三作品から構成されるインスタレーションを制作しました。
時計が時計であることを忘れたとき、彼らは何を思うのだろう。
捨象とは、ある物事の特徴のうち一部を残して他を捨てることにより、その物事の本質を探ろうとする思考方法です。「時間を刻む」という時計の本分とも言える特徴をあえて捨てたときに、それでもそこに残るもの。そのたたずまいや振る舞いを想像することで、セイコーのものづくりに対する姿勢や哲学が見えてくるのではないかと考えました。人々を笑顔にするセイコーのものづくりの一端を、この作品シリーズを通じて感じてもらえたら嬉しいです。
- 時計の捨象 #01
メトロノームウォッチは一定のリズムだけではなく、回転方向やスピードを自在にコントロールできる特別な内部機構を備えています。そんな小さく精密な機構を手のひらに置いたとき、まるで昆虫のような健気な生命力を感じました。
もし、この機構に生命が宿ったとしたら、どんな生き物になるでしょうか。残念ながら、地上で自重を支えるだけの力はこの機構にはありません。しかし、水の上に浮かんで、水かきをするぐらいの力はありそうです。実際に針の先にフィンをつけ、水に浮かべると、彼らは小さな波紋を作りながらゆっくりと泳ぎ始めました。
Year :
2022
企画制作 :
nomena
制作協力 :
中路 景暁
高橋 琢哉 (Oyster Inc.)
加藤 風芽
共同制作 :
セイコーウオッチ株式会社
映像 :
村瀬健一
Tag :
With nomena
Electronics
Installation
Mechanism